養老保険は年末調整で控除される?知っておくべき知識と書類の書き方

養老保険と個人年金保険は、代表的な『貯蓄型の生命保険』として知られています。中でも養老保険は『死亡時にも満期に相当する保険金が受け取れる』画期的な保険です。ここでは養老保険の基本から年末調整の控除についてまで詳しく解説していきます。

養老保険とは

養老保険は、貯蓄型の生命保険の一つです。保険期間は一定で、満期時に生存していれば満期保険金が支払われ、保険期間中に死亡したときには死亡保険金が支払われます。

なお、満期保険金と死亡保険金は同額です。満期がおおよそ60歳前後に設定されているため、『養老保険』という名前が付けられました。

個人年金との違い

個人年金保険も養老保険も『老後のための貯蓄型の保険』という点では共通ですが、一番の違いは『養老保険は死亡時にも満額の死亡保険料が受け取れる』ことです。

個人年金保険では年金を受け取る前に死亡すると、受け取ることができるのはそれまでに納めた保険料に見合った保険金のみです。

一方、養老保険ではどのタイミングで死亡したとしても、満期に相当する死亡保険金を受け取れます。

また、保険料控除の対象も異なります。個人年金保険は個人年金保険料控除と生命保険料控除が対象になりますが、養老保険は生命保険料控除のみが対象です。

養老保険の種類は2つ

養老保険は支払い方法の違いから『積み立て型』と『一括支払い型』の2種類に分けられます。積み立て型が一般的ですが、利率や税金対策の観点で言えば、一括で支払う方が有用な場合が多いです。

満期保険金の受取人に注意

養老保険が満期になった場合、被保険者・保険料の負担者・保険金受取人を誰に設定していたかにより、課せられる税金が『所得税』か『贈与税』に分かれます。

  • 所得税:保険料を支払った人と満期保険金を受け取る人が同一の場合
  • 贈与税:保険料を支払った人と満期保険金を受け取る人が異なる場合

贈与税は所得税よりも税率が多くかかってしまいます。養老保険に加入する際には、満期保険金の受取人を誰に設定するかが重要と言えます。

養老保険料は生命保険控除の対象になるのか

養老保険は生命保険の一種ですので、生命保険控除の対象になります。生命保険の控除枠には3種類の区分があります。

  • 一般生命保険料控除
  • 介護医療保険料控除(新制度のみ)
  • 個人年金保険料控除

ここでは、養老保険の区分や控除額について解説します。

区分は?

養老保険の保険料控除の区分は『一般生命保険料控除』です。こちらの控除の条件は『生存または死亡に基因して一定額の保険金、その他給付金が支払われる契約』なので、満期・死亡の両方の保障がある養老保険が当てはまるわけです。

どのくらい控除されるのか

一般生命保険料控除は、保険に加入した時期によって控除額と控除枠が異なるので注意が必要です。保険の加入日が平成23年12月31日以前ならば『旧制度』、加入日が平成24年1月1日以降なら『新制度』の計算方法で控除額が決定します。

旧制度の場合

旧制度の場合、養老保険の『一般生命保険料控除枠』の上限は5万円になります。養老保険だけで言えば新制度より控除額が上です。

保険料控除額全体で見ると、旧制度は『一般生命保険料控除』と『個人年金保険料控除』を合わせて、最大で10万円が控除されます。

新制度の場合

一方で新制度の場合は、養老保険の『一般生命保険料控除枠』の上限は4万円です。養老保険だけで言えば旧制度の時より控除額が減ってしまうものの、保険料控除額全体で見ると新制度に軍配が上がります。

旧制度の『一般生命保険料控除』と『個人年金保険料控除』に『介護医療保険料控除』も加わったため、新制度では全体で12万円まで控除できるからです。

年末調整で養老保険の控除を受けるには

年末調整で養老保険の控除を受ける場合、次の2点の書類が必要になります。

  1. 給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書
  2. 生命保険料控除証明書

まず『給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書』を勤務先から受け取ります。『生命保険料控除証明書』は、毎年10月を目安に生命保険会社から郵送されてきます。

必要書類を記入し提出する

『給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書』の書類では、養老保険は生命保険料控除の一番上の項目である『一般の生命保険料』の欄に記入します。

記入が終わったら『生命保険料控除証明書』を添付して勤務先に提出しましょう。これで保険料控除の年末調整は完了です。

なお、保険料を給与天引きなどで払っている場合には、生命保険料控除証明書の添付は不要です。

まとめ

個人年金保険と同じ『貯蓄型の生命保険』である養老保険ですが、やはり死亡時にも満期に相当する死亡保険金が受け取れるところが最大のメリットと言えるでしょう。老後の貯えだけでなく、若い時の死亡保障まで重視したい方は、ぜひ養老保険を検討してみてください。