葬儀の告別式について。参列者と主催側どちらにも知って欲しいマナー

大切な人との本当の意味でのお別れの儀式に『葬儀』や『告別式』があります。参列した経験のある人でも、知らないことは意外に多いものです。また自分が喪主になる可能性もあるので、いざというときに困らないようマナーを知っておくことが大切です。

告別式について知ってほしいこと

告別式は文字通り『亡くなった人に最期の別れを告げる式』のことです。テレビなどで芸能人や著名人の告別式を見たことがある人も多いでしょう。しかし、いざ自分が告別式に参列するとなると、わからないことも多いですよね。

まずは、基本的な知識から告別式の流れまでを見ていきましょう。

お通夜、告別式、葬儀の違い

お通夜・告別式・葬儀には次のような意味の違いがあります。

  • お通夜:遺族や親族を中心に『夜を通して故人との別れを惜しむ』もの。
  • 告別式:遺族や親族に加え、関係の浅い一般の人も加わり『故人に別れを告げる』もの。
  • 葬儀:冥福を祈り最期の別れを告げる、故人を弔う儀式。より宗教観が強くなる。

従来、夜通し行われていたお通夜ですが、現在は1~3時間の『半通夜』が主流になりました。告別式も時代の流れとともに、葬儀の後に続けて行うようになってきていますが、本来は『葬儀』と『告別式』は別ものです。

告別式の流れや所要時間

現在の『葬儀』・『告別式』と続く一連のお葬式に要する時間は、一般的に1~2時間ほどになっています。そのため開始時間は火葬場の予約時間に間に合うように、逆算して決められます。

開始時間30分前ごろから弔問客の受付が始まり、喪主や遺族、親族などが着席している状態のところへ僧侶が入場し、読経・弔辞・弔電、遺族の焼香と『葬儀』が続きます。

その後、弔問客の焼香からが『告別式』の流れになります。

  1. 焼香(弔問客)
  2. 僧侶退場
  3. 喪主挨拶
  4. お別れの儀:別れ花(※1)、石打ち(※2)
  5. 出棺

(※1)供花を短く切ったものを1人ずつ棺に入れてお別れする

(※2)お棺のフタを閉めるために石で釘を打つこと

葬儀の開始時刻から参列できない場合は、弔問客の焼香から参列しても構いません。

告別式行くことになったときのマナー

告別式に参列する際は『弔意』を全身であらわす必要があります。

服装や髪型について

親族でなければ、通夜や告別式には『地味な平服』でも構いませんが、次の点に注意しましょう。

      男性      女性     子ども
服装
  • 黒や濃紺など無地の地味なスーツ
  • ズボンの裾はシングル
  • 黒ネクタイ
  • 白ワイシャツ
  • 黒の靴下
  • 黒か濃紺の地味なスーツやワンピース(無地)
  • 黒ストッキング
  • タイツはNG
  • 制服
  • 紺・グレーの地味な色合いの服(無地)
  • 赤ちゃんも地味な服
靴・持ち物
  • ツヤや装飾のない黒
  • 黒い靴
  • ヒールは3~5cmまで
  • 装飾・エナメルは避ける
  • ツヤ感なし、金具なしの布製ハンドバッグ
  • 黒系のシンプルなもの
髪型
  • ヒゲは基本的NG
  • 髪型・髪色注意
  • 顔にかからない髪型
  • 耳より下でまとめる
  • ツインテールや編み込みNG
  • ゴムは黒で統一
  • 派手な髪飾りはNG
アクセサリー
  • ネクタイピンはしない
  • ピアスなどは外す
  •  結婚指輪OK
  •  真珠
  • 付けない

女性がアクセサリーを付ける場合は、真珠の短めの一連ネックレスが好ましいでしょう。

明るすぎる髪色は、カチューシャやバレッタ、ネットなどで露出を控えるか、シャンプーで落とせるスプレーなどで一時的に黒髪にしましょう。

華やかでボリュームのあるパーマヘアは、毛先をしまうなどして地味にまとめてください。

香典の書き方や金額、出すタイミング

『香典』はその昔、故人に対して弔いの気持ちとして天然香木(伽羅などよい香りのする木)をお供えする習慣が、現金に変化したものです。

香典を入れる『香典袋』には種類があるので、購入する際には表書きに注意しましょう。日本で多い仏式では『御霊前』を用いるのが一般的です。

基本的に、入れる金額が1万円以上の場合は水引のついたもの、それ以下は水引が印刷された不祝儀袋を選びます。

書き方にも決まりがあり、正式には『薄墨の筆ペン』を用いて『御霊前』の下に氏名を書き、中袋には金額を記載してください。

入れる金額の相場は下記のようになり、故人との関係性によって変わります。

  • 遺族や親族:1~3万円
  • 知人、仕事関係:3千円~1万円

最後に袋は、下・上の順で折り畳み、会場に着いたら『受付で最初に提出』しましょう。

お通夜と告別式2回行く場合

香典を渡すタイミングに決まりはありません。

仕事などの都合上、お通夜のみに参列する人が増え、お通夜の席で香典を出すことが多くなりました。

しかし、両方に参列する場合には、告別式(葬式)で手ぶら状態なのは気になるという人も多いので、告別式で香典を出すとよいでしょう。

地方によっては、お通夜で香典を出すのがならわしという場合もあります。あらかじめ持参しておき、まわりの人を見て合わせるという臨機応変さも大切です。

焼香の仕方

抹香(粉状のお香)を焚いてその場の不浄を払うご焼香の流れを紹介します。

  1. 自分の番になったら席を立ち、焼香台の少し前で遺族と僧侶に一礼。
  2. 焼香台まで進み、さらに一礼。
  3. 数珠を左手にかけて右手で焼香を行う(額に押し頂くことが多いが、宗派により異なる)
  4. 遺族に一礼してから席に戻る。

『押し頂く』とは、抹香を摘まんで額の前辺りに持ってくる所作のことです。

告別式のみに参列する場合

『お通夜』が親族や関わりの深かった親しい関係者で執り行われるのに対し、故人との関わりがさほど深くない人も多く訪れる『告別式』のみ参列する場合について紹介します。

親族や親しい間柄だった場合

故人と親しい間柄の場合、まずはお通夜で遺族にお悔やみを伝えた後、告別式にも参列したいものですが、予定が合わず告別式だけの参加になる場合もあります。

その場合ですと、お通夜のように遺族の方と話す時間がないことが多いです。後日改めて、先方が落ち着いてから励ましの連絡を取ったり、訪問したりするとよいでしょう。

それほど親しくない人や会社関係者の場合

友人というほどの間柄ではない人や、仕事関係の場合には『告別式』だけへの参列でもまったく問題はありません。服装や香典など持ち物のマナーを守り、故人を弔う真摯な態度で参列しましょう。

喪主として執り行うときに知ってほしいこと

大切な人の死という過酷な状況の中で、喪主にはやるべきことが多く気丈に頑張り過ぎてしまいがちです。

無理をし過ぎず体を休める時間を取りながら葬儀や告別式の準備をし、お世話係や葬儀社の人にサポートしてもらいながら執り行いましょう。

遺体の搬送や死亡届、火葬場の予約など『必ずやらなければならないことを落ち着いて行う』ことが大切です。

執り行う側から見た葬儀の流れ

葬儀を執り行う『喪主』や『喪家』という立場になったら、葬儀に訪れた弔問客の対応や挨拶などをします。対応の際は、故人の死因や死亡した際の詳細などの説明は控えましょう。

葬儀の大きな流れは次のようになります。

  1. 読経
  2. 遺族・親族による焼香
  3. 一般弔問客による焼香
  4. 出棺・見送り(一般の方はここまで)
  5. 親族・近親者による火葬・骨あげ

葬儀社は、価格や評判などをチェックして利用する会社を決めておくと予期せぬ高額な出費を防ぐことができます。参列者への対応などは『お世話係』を決めて手伝ってもらうのもよいでしょう。

セレモニーホールを利用して告別式を行う場合は、スタッフにいろいろと相談でき、サポートしてもらえるので安心です。

友引が避けられるのは何故なのか

六曜の『友引』は葬儀してはならない凶日と言われています。『友を引く』ということで故人と親しかった人も、あの世に連れて行かれる不吉な日として恐れられていたためです。

実際には『共引』が正しく『勝負がつかない日』のことなのですが、友引=不吉という観念が定着しており『ほとんどの火葬場の定休日が友引』になっています。

そのため友引は避けた方が賢明です。特に高齢の方は友引での葬儀は考えられないという人が多く、トラブルを避けるためにも友引はおすすめしません。

告別式の挨拶の仕方やコツ

告別式での挨拶文にはネットなどにも例文があります。思いつかない場合には利用するとよいでしょう。葬儀社のスタッフに相談してもOKです。

そのうえで故人が元気だったころのエピソードなどを盛り込みますが、悲しみが強く人前で話すのが厳しい場合には、無理にまとめず参列者のみなさんに参列いただいたことへのお礼を、故人に代わって述べましょう。

また挨拶に使う言葉には、次のようなポイントがあります。

  • 『死亡→逝去』
  • 『急死→突然のこと』
  • 『生存中→生前は』

などと死に対する直接的な表現を避け、『四→死』や『九→苦』など不吉な言葉を連想させる数字も避けます。さらに、

  • 重ね重ね
  • たびたび
  • またまた

などの『重ね言葉』は忌み言葉なので使わないように気を付けましょう。

まとめ

告別式は故人を弔う大切なものです。参列するときも喪主として執り行う場合も流れやマナーを把握して、いざというときに慌てないようにしましょう。

また告別式を含む葬儀には価格がはっきりしていないものも多く、予想外の出費になることも多いため、きちんと調べて葬儀社を決めることが大切です。