会社を退職した後に再就職しない場合は、自分で確定申告を行う必要があります。確定申告は、毎年2月16日~3月15日の間に行うことになっていますが、追加で納める税金がない場合は2月16日より前でも還付申告として手続きが可能です。確定申告時に用意する書類や確定申告書の具体的な記入方法について解説していきます。
目次
確定申告前に用意しておくべきもの
確定申告前には、色々な書類を用意する必要があります。一度、何が必要なのか整理をしておきましょう。
本人確認書類
確定申告にあたっては、マイナンバーを確認できる書類が必須となります。マイナンバーカードを持っていない場合は、通知カードと本人確認書類1点を持参します。あわせて、収入や支出がわかる書類の原本を提出することになります。控えが必要な場合はコピーを取っておくと良いでしょう。
源泉徴収票
給与所得者の源泉徴収票と退職所得の源泉徴収票は、退職した会社から発行されます。退職後2か月経過しても発行されない場合は、退職した会社に確認することをおすすめします。
年金を受けている場合は、公的年金の源泉徴収票も用意します。毎年1月中旬から下旬にかけて、日本年金機構や共済組合等から送られてきます。
保険料
民間の保険会社に生命保険料や地震保険料を支払った場合は、生命保険料控除証明書・地震保険料控除証明書を用意します。毎年9月以降に保険料を支払った会社から送られてきます。自分や家族の社会保険料を支払った場合は、その領収書も用意しておきましょう。国民年金保険料や国民健康保険料の他、介護保険料も対象になります。
医療費控除
それ以外に、1年間で10万円以上の医療費を支払った場合は、医療費控除の明細書を作って提出します。医療機関の領収書の添付は不要です。
確定申告書Bとは
確定申告書にはA・Bの2種類が用意されています。いずれも記載方法に大きな違いはありません。
AとBの違い
一方、確定申告書Aは、申告対象となる所得が給与所得・雑所得(年金所得を含む)・総合課税の配当所得・一時所得のいずれかの場合に限り使用可能です。また、予定納税を行わないことも使用条件となります。
その年の所得金額や各種控除額から税金計算を行う第一表と控除対象配偶者や家族の情報、住民税に関する事項、所得の内訳を記載する第二表の2枚で構成されています。還付金がある場合の受取希望口座の情報は、第一表に記載します。
確定申告書Bは所得の種類に関わらず使用可能です。また、分離課税の所得や山林所得・退職所得を申告するための第三表も用意されています。退職金を受け取った人は、確定申告書Bを利用しましょう。
第一表の記入例
確定申告書の第一表には、収入・所得や控除額、還付金がある場合の受取口座の情報を記入します。まずは、住所・氏名・生年月日等の個人情報と本人のマイナンバーを記入します。また、ゴム印以外の印鑑を押印します。
給与欄
収入金額等の給与欄には、給与所得者の源泉徴収票に記載されている収入金額を記入します。源泉徴収票が複数ある場合は、収入金額を合計したものを記入しましょう。年金受給者の場合は、公的年金等の欄に公的年金の源泉徴収票に記載された支払金額の合計を記入します。年金の区分にかかわらず、単純に支払金額を合計すれば問題ありません。
各種控除の欄
社会保険料控除の欄には、源泉徴収票に載っている社会保険料等の金額を記入します。個別の領収書がある場合には、支払った金額も合計しましょう。基礎控除額は一律で38万円を記入します。
生命保険料・地震保険料・医療費控除等の所得から差し引かれる金額や所得金額・税金の計算の欄は、確定申告の手引きを見ながら計算して記入することも可能ですし、確定申告の窓口で税務署職員に記入を頼むこともできます。
第二表の記入例
確定申告書の第二表には、所得や控除額の内訳や住民税に関する事項、控除対象家族の情報を記入します。まず住所と氏名、フリガナを記入し、所得の内訳欄には所得の種類(給与所得・退職所得など)や支払者の氏名、収入金額、源泉徴収税額を記入します。
各種控除の欄
収入金額は、税金を控除される前の金額となる点に注意が必要です。配偶者(特別)控除を受ける場合は配偶者の氏名、生年月日、マイナンバーを記入します。あわせて、配偶者の合計所得金額が38万円以下であれば配偶者控除欄に、38万円を超えて123万円以下の場合は配偶者特別控除欄にチェックを入れます。
16歳以上の扶養親族がいる場合は、扶養控除欄に該当者の氏名・続柄・生年月日・マイナンバーと控除額を記入します。なお、16歳未満の扶養親族がいる場合は、住民税・事業税に関する事項に該当者の情報を記入しましょう。ふるさと納税を行った場合は、寄付金税額控除欄の都道府県・市区町村分の欄に支払った金額を記入します。
第三表の記入例
確定申告書の第三表には、分離課税の収入金額や税金計算の内容を記載します。退職金に関することも第三表で記入します。まず、収入金額の退職欄には受け取った退職金の合計額を記入します。
退職所得の記入
次に、退職所得に関する事項を記入しますが、2か所以上から退職所得がある場合は欄を分割して記入しても構いません。所得の生ずる場所の欄には退職金の支払者の名称を記入し、収入金額の欄には源泉徴収される前の退職金の支払額を記入します。
退職所得控除額には、勤続年数が20年以下の場合は40万円×勤続年数で計算した額(最低80万円)、勤続年数が20年を超える場合は800万円+70万円×(勤続年数-20年)を計算した額を記入しましょう。
収入金額から退職所得控除額を引いて2で割った金額を、所得金額の退職欄に記入します。税金の計算欄は第一表と同様に自分で計算して記入することも、税務署職員に記入を頼むことも可能です。
まとめ
確定申告書に記載する内容は多いですが、書類を見ながら各項目に金額や必要事項を記入するため、難しい知識は必要ありません。また、申告書に手書きする以外にも国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーでの作成が可能で、不明点は税務署窓口で詳しく説明を受けることができます。なお、税務署や国税庁ホームページには確定申告書の手引きが用意されていますから、忘れずに確定申告を行いましょう。