初めてでもわかる退職金の請求書の書き方。記入例から期限まで全部解説

退職金は、会社ごとに規定により定められている制度です。そのため、退職金制度がない会社に勤めている場合、もらえないこともあります。また、退職金は定年退職をした際にもらうというイメージが強いですが、途中退職した場合でももらえる可能性があります。退職金がどのような場合にもらえ、どうすればもらえるのか、請求の仕方についてしっかりと知識を付けることが必要です。

退職金の請求書の記入例

退職金はすべての人がもらえるものではありませんが、労働契約書や就業規則などに退職金がもらえるという旨が書かれているならばもらえる可能性が高いです。途中退職や定年退職をしたならば、退職金がもらえるように退職金請求書を記入して必要書類を揃えて、指定の機関で手続きをする必要があります。

退職金は退職すると同時に会社から自動的に口座に振り込まれるようなイメージがありますが、しっかりと手続きをしなければもらえない可能性もあるので確認しましょう。

退職金の請求書にはテンプレートがあり、それに沿って内容を記入していくとわかりやすいです。

主な記入事項は本人の情報、どのようにして受け取るのか、どの金融機関から受け取るのか、税金についての申告といったものです。

まずは退職金を受け取ることができる本人の氏名や住所、電話番号などを記入します。遺族が請求する場合は、それまで勤めていた人の情報を記入しましょう。

退職金の受け取り方法は一時払いと分割払い、一部分割払いの3通りがあるため、このうちのどの受け取り方法が良いのかを指定します。

受取金融機関という欄には、退職金を振り込んでもらう金融機関と口座名義人、口座番号を記入する必要があります。

退職金は所得の一部とみなされるため、退職所得申告欄に記入しなければ、一定の割合の税金が徴収されてしまいますので注意しましょう。

請求書の銀行確認印とは

退職金の支払いは、原則として普通預金口座に直接振り込む形で支払われます。そのため、退職金請求書にも受取金融機関欄というものがあり、退職金を振り込む口座を指定しなければなりません。受取金融機関欄には金融機関名と口座名義人、普通預金口座番号を記入するのですが、これだけを自分で記入して提出しても退職金は支払われませんので注意が必要です。

退職金請求書には退職金を請求する人が記入する部分以外に、金融機関記入欄というものがあります。この部分を埋めるためには銀行など口座を開いた金融機関へと赴いて、銀行確認印(口座確認印)をもらい、かつ金融機関コードと店舗コードの記入を受けなければなりません。

金融機関コードと店舗コードは、実際にある金融機関であるかどうかを確認するためのものであり、銀行確認印(口座確認印)は請求者が指定した口座が実際にあるかどうかを確認するための証明です。

この部分が記入されていないと、指定口座の信用性が確保されないことになります。銀行の窓口に行かなければそれぞれのコードと銀行確認印はもらうことができないため、窓口が開いている時間に行く必要があります。ただし、請求者本人(口座名義人)でなくてもこの手続きはすることができますから、忙しい場合は代理人に委託しても問題ありません。

請求書の期限はいつ?

退職金は制度を設けている企業に勤めていたならば支払われる可能性がありますが、請求しても絶対にもらえるわけではない点に注意が必要です。退職金の請求をすればもらえると思って、何年間も請求せずに放置すると、請求期限を過ぎて退職金をもらえる権利そのものが無くなる可能性があります。これを消滅時効と言います。

消滅時効とは権利を行使できるにも関わらず、それを行使せずに放置し続けた人を保護する必要はないという考えのもと行われるものです。権利がないという事実状態が一定期間継続した場合は、法律上でもその権利を失うことになるという制度のことを言います。この消滅時効があるため、請求を期限内に行わなければ、退職金が支払われなくなってしまいます。

退職金請求の期限は、従業員が退職した日から5年間となっています。5年の間に請求書を提出しなければ、時効によって権利が消失してしまうことになるので注意しましょう。賃金未払いの請求期限が2年であることと比較すると長めですが、一般的な債権の消滅時効10年に比べると短いので、勘違いしないように気を付けましょう。

また、何らかの理由により5年の間に請求ができない場合は、退職金支払い機関に相談するか裁判手続きをすることが勧められます。

退職金の請求書の訂正方法

退職金を請求しようと思って請求書を書いていくと、書き慣れない書類ということもあり、書き損じをする人が多くいます。例文に沿ってそのまま記入してしまったり、あるいは誤字・脱字といった書き間違いなどその間違いは様々です。これらの書き損じはそのままにして請求書を送ることがないようにしましょう。

ただ、二重線を引いて提出するのも好ましくありません。正しい訂正の仕方をして提出しなければ、再提出を求められるか、最悪の場合間違った手続きをされて退職金が減額してしまう可能性もあります。

退職金請求書の正しい訂正方法は、訂正印を押印した上で正しく書き直すことです。訂正印とは、書類や契約書の間違いを正す際に用いられる印鑑のことであり、訂正印を用いる場合や実印を用いる場合などがあります。

退職金請求の場合は請求書のいずれかの欄に押印する部分があるので、その押印と同じ印鑑を訂正印として使用することが正しい訂正方法となります。必ずしも訂正印や実印でなければならないわけではありません。ただし、印鑑証明書を提出して実印でもって請求書を作成する必要があった場合は、実印でもって訂正を行います。

退職金の請求書の送付方法

退職金は基本的に中小企業退職金共済などといった各種退職金共済制度に企業がそれぞれ加入して、その機関から支払われる仕組みとなっています。そのため、退職金請求書や添付書類などの必要書類をそれまで勤めていた企業が加入していた共済団体へと送付することが必要です。

送付方法は、特別な送付方法を取る必要はありません。通常の郵便物と同じように封筒を用意し、請求書と必要書類を入れて郵送します。退職金請求書や添付書類などといった中に入れる書類は三つ折りを基本として、必要以上に細かくたたまないようにしましょう。

特別な封筒は必要としませんが、添付書類が多く、折りたたむことで書類が出しにくくなるようならば、サイズの大きな封筒を用意するのがおすすめです。封筒の外側にわかりやすいように「請求書在中」と書いておいてもいいでしょう。

また郵送方法に関しては、郵便局窓口において普通郵便で送ります。書留を利用しなくても問題ありません。もし、送付方法が気になる場合は、送り先に問い合わせて確認すると安心でしょう。

まとめ

退職金はすべての人に支払われるものではありませんが、請求を自ら行わなければ支払われないケースもあります。正しく退職金請求書を記入して、金融機関においてしっかりと手続きをし、必要書類を用意して封筒に入れて郵送します。退職金の請求は慣れない手続きということもあり、間違えることも多いです。手続きを確実に行い、後悔のないようにしましょう。