養老保険が満期になったら。これだけは知っておきたいポイント

養老保険は、契約期間中は終身保険として、満期時には老後のたくわえとしての活用が可能な保険です。今回は満期を迎えたときの手続きとあわせて、気になる税金など最低限知っておきたいポイントをまとめて解説します。

養老保険が満期になった時の手続き

加入している養老保険が満期を迎えた際には、所定の手続きを経ることで、受け取りが可能になります。まずはその手続きについて紹介します。

受け取りに必要な書類

満期保険金を受給するには、保険証券あるいは保険証券の記号番号が記載された書類が必要です。保険証券がすぐには出せない場合でも、年に一度届く保険会社からお知らせに記載されていることがあります。

被保険者の本人確認書類としては、運転免許証やパスポートなどが必要になります。健康保険証など顔写真がないものは、指定の本人確認書類2点を求められるのが一般的です。

また、受取先となる銀行口座のキャッシュカードや通帳、印鑑も必要です。これらに加え、加入先の保険会社が用意した証明書や『満期保険金請求書」が必要になることがあります。

手続きの方法と注意点

養老保険の満期保険金を受け取るためには、先述した必要書類を用意し、保険会社に提出します。満期が近づいた際に受け取る『お知らせ』に従って、指定先に書類を返送するのが一般的です。

提出した書類をもとに保険会社にて審議のうえ、許可が下りれば満期保険金を受け取ることが可能です。書類に不備があった場合など、状況に応じて提出書類が増えることもあるので注意しましょう。

養老保険金の請求は第三者に委任することもできますが、その場合には委任状と委任者の本人確認書類などの提出が求められます。

なお、養老保険の満期保険金は、5年を過ぎると受け取りができなくなるという『期限』があるのが一般的です。請求権がなくなる前に手続きを行うようにしてください。

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満期金の税金について

養老保険の満期保険金を受け取った際には、所定の税金がかかる可能性があります。課せられる税金の種類とあわせて、確定申告が必要なケースについても解説します。

一時所得で所得税、受取人によって贈与税に

養老保険の満期保険金に関する税金は、受取人が誰かによって変わります。保険料を支払った人(契約者)と満期保険金を受け取る人が同じ場合には所得税が、支払った人と受取人が違う場合(夫が契約者で妻・子が受取人の場合など)には贈与税が発生します。

養老保険の満期保険金を全額一括で受け取った場合には『一時所得』、分割で受け取った場合には『雑所得』として課税されます。

なお、『一時所得の特別控除』である50万円を差し引いた額が課税対象となるため、支払った保険料に対して『50万円以上得をする』という場合にのみ、税金が発生すると考えておけば大丈夫です。

確定申告が必要な場合

養老保険の満期保険金に対しては、受取人によって所得税、あるいは贈与税が発生することがあります。税金が発生するとなると、気になるのが確定申告の必要性でしょう。

確定申告が必要になるのは、主に下記の3つのパターンに当てはまる人です。

  • 満期保険金の額にかかわらず、もともと確定申告をしている人
  • 満期保険金と給与以外の所得の合計が20万円を超える人
  • 満期保険金の受取人となり贈与税の対象となる人

年末調整している給与所得者の場合は?

勤務先で年末調整をしている給与所得者の場合には、満期保険金による一時所得が20万円以上となる場合に確定申告が必要です。また、養老保険の満期保険金だけでなく、他にも一時所得あり、その合計が20万円を超える場合には確定申告をしなければなりません。

保険料の支払者と受取人が違う時

保険料を支払った人(契約者)と満期保険金の受取人が違う場合には、満期保険金の額が110万円を超えると贈与税の対象となるので、確定申告が必要です。

自分で保険料を支払った場合には、満期保険金額から支払った額をひき、さらに控除の50万円を差し引いた額が課税対象でした。一方、贈与税は満期保険金額にそのまま課税されること、また税率が高めに設定されているのが特徴です。

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養老保険の満期時に注意すべきことは

養老保険が満期になった場合には注意したいことがあります。ここでは、保険金の受け取りに際して気を付けたいポイントをまとめました。

満期保険金を据え置きするかしないの判断は

満期保険金の全額(あるいはその一部)を受け取らないことを『据え置き』と言います。銀行口座に貯蓄するのと同様に、保険会社に預けておくという判断もできるというわけです。

『据え置き』した満期保険金には、保険会社所定の利息が付きます。そのため、すぐに現金が必要ではない場合には、満期保険金を受け取らずに据え置きする方法もおすすめです。

一方で、保険会社の利息によっては、別の金融機関にお願いしたほうが利回りが良いこともあります。より効率の良い運用方法がある場合や使い道が決まっている場合には、据え置きするのではなく、満期保険金を受け取っても問題ありません。

満期後死亡保障はどうなるの?

養老保険は、契約期間中に死亡した場合には死亡保険金が支払われる仕組みになっていますが、満期を迎えると、その死亡保障の権利は消滅します。満期後に契約を継続する、というシステムではありません。

死亡時に受け取ることのできる『死亡保障』が欲しい場合には、別の保険商品に加入する必要があります。ただし、養老保険は50~60代に満期となるよう設定されていること多いため、新たに保険に加入するには年齢や健康状態、保険料の高額化などといったリスクを伴います。

妻が扶養を外れるのはどんな時?

契約者・受取人がともに妻という場合、養老保険の満期保険金の受け取りによって夫の扶養から外れることがあります。この場合、満期保険金が一時所得としてカウントされるからです。

具体的には、妻のその年の合計所得(一時所得を含めた額)が、38万円を超えた場合には扶養から外れることになります。夫の合計所得額など一定の条件があるものの、配偶者控除や扶養控除からも対象外となることがあり、注意が必要です。

一方、妻が夫名義の養老保険の満期保険金を受け取る場合には、『贈与』とみなされるため、扶養の可否に影響はありません。先にも触れたように、贈与税の対象となります。

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まとめ

養老保険の満期保険金の受け取りには、それぞれの保険会社が定める所定の手続きが必要です。養老保険の満期が近づいてきたら、事前に手続きや税金などを調べておき、その時になって慌てることがないようにしましょう。