退職金は源泉徴収されている?確定申告の必要性まで解説します

毎月の給料が支払われる際には、必ず会社で源泉徴収が行われています。では、会社を退職する際の退職金からは源泉徴収がされるのでしょうか。退職金にかかる税金の金額や源泉徴収票の確認方法、確定申告をした方が良いケースについて紹介します。

退職金も源泉徴収される?

源泉徴収とは、その収入に基づいて計算した所得税や住民税を、会社があらかじめ天引きしておく仕組みです。つまり、所得税の課税対象となる収入は源泉徴収されることになります。

退職金にも税金がかかっている

退職金は退職の際に会社から受け取る一時金のことです。退職金は税法上、『退職所得』として取り扱われ、所得税の課税対象となっています。つまり、退職金には税金がかかっているのです。

基本的には勤務先が源泉徴収している

退職金が支払われる際、基本的には勤務先でかかる税金についての計算を行います。そこで計算された税額を差し引いて支給されるため、退職金を受け取る側は源泉徴収についてあまり意識することはありません。

退職金を受け取る際には、その源泉徴収額を記した源泉徴収票が会社から交付されます。

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退職金の源泉徴収税額の決まり方

退職金に税金がかかることは分かりましたが、源泉徴収される税金の額はどのように決まるのでしょうか。

給与よりも税負担が軽い

所得税は、課税対象の所得額を税額表に当てはめて計算します。しかし、この課税対象の所得額の算出方法が、所得の種類によって異なる点に注意しなければいけません。

会社の勤続期間中に支払われる給与は『給与所得』という分類ですが、退職金は『退職所得』に分類されます。この二つは所得の種類が異なるため、課税対象の所得額の算出方法が違ってくるのです。

給与所得の場合、決められた所得控除を差し引いた金額全てが課税対象の所得とみなされます。しかし、退職所得では所得控除を差し引いた金額をさらに1/2にした金額が課税対象となります。

控除後の金額に1/2をかけることから、給与に比べて退職金の方が税負担は軽くなるのです。

どのような計算をしているのか?

退職金にかかる税額を計算するには、まず課税対象となる所得額を計算する必要があります。課税対象となる退職所得は次の計算式で算出します。

課税対象となる退職所得=(退職金の総額-退職所得控除額)×1/2

退職所得控除額は勤続年数により異なり、勤続年数20年以下の場合は40万円×勤続年数(ただし、算出控除額が80万円未満になる場合は80万円)、20年超の場合は800万円+70万円×(勤続年数-20年)で計算します。

計算式のとおり、控除額を差し引いた上でさらにそれを1/2にした金額が課税対象となり、それを税額表に当てはめて計算を行います。この税額は所得が多ければ多いほど税率が上がる累進課税です。

課税が0円のケース

計算式に基づいて税額の計算を行うと課税が0円となるケースもあります。これは、退職所得控除の金額が退職金の金額を上回っている場合です。

例えば勤続年数が10年の場合、退職所得控除額は400万円となるため、これを下回る退職金の場合は課税されません。勤続年数30年の場合は、1,500万円までは非課税です。

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退職金は正しく源泉徴収されているか?

退職金が正しく源泉徴収されるには、どのような手続きが必要なのでしょうか。また、受け取った退職金が正しく源泉徴収されているか確認する方法を紹介します。

退職所得の受給に関する申告書の提出が必須

退職金を受け取る際に必要となるのが『退職所得の受給に関する申告書』の提出です。この書類を退職者が会社に提出することで、退職所得控除を受けられます。

しかし、書類を提出していない場合控除が受けられず、一律に約20%の税率で所得税がかかってしまうのです。

会社側としてはこの書類は保管しておくのみですが、税務調査などの際に開示を求められる可能性があるので、必ず提出しておきましょう。

エクセルシートがダウンロードできる

退職所得の受給に関する申告書は、指定の書式を使用する必要があります。国税庁のWEBサイトからはPDFファイルがダウンロードできますし、各税務署などではエクセルシートを提供しているWEBサイトもあります。

確認するための源泉徴収票の見方

退職金の源泉徴収が正しく行われているかを確認するには、会社から受け取った源泉徴収票を確認しましょう。

確認する箇所は源泉徴収票の『区分』という欄です。区分は3段あり、所得税法の条項の番号が記されています。この欄では3段のうちどこに退職金の金額が記載されているかに注目してください。

退職所得の受給に関する申告書を正しく提出していれば、上段または中段に金額の記載があります。上段は同年中に他社からの退職金を受け取っていない場合、中段は受け取っている場合に使用されます。

ここで支払金額や源泉徴収税額等を確認できます。また、勤続年数やそれをもとにした退職所得控除額もその下の欄で確認可能です。

ちなみに下段に記載がある場合は退職所得の受給に関する申告書が提出されていない場合ですので、後述する確定申告を行ってください。

退職金の確定申告が推奨されるケース

手続きが正確に行われていれば、特に退職金を受け取ったからと言って確定申告は必要ありません。しかし、場合によっては確定申告をしておいた方が良いケースもあります。

退職所得の受給に関する申告書の未提出

退職所得の受給に関する申告書を提出していない場合、退職所得控除が適用されていないため、税金が多く徴収されていることになります。その場合は確定申告することで、払い過ぎた分の還付金を受けられます。

再就職後の収入低下

退職後の再就職で著しく収入が低下した場合、所得税の計算を行う際の基礎控除や配偶控除などの各種控除額を給与額から引き切れないことがあります。この場合、確定申告をすることで退職所得も含めて計算でき、還付金が受けられる可能性があります。

年の途中で退職した場合

年の途中で退職した場合、退職までに得た給与に関する年末調整がされていないので、給与に関する確定申告をする必要があります。

この時、退職金についても申告に含めるかどうかですが、給与所得のみでは各種控除額を引き切れない時は含めた方が良いでしょう。逆に言えば各種控除額の合計よりも所得額が多い場合には、退職金の分の確定申告は必要ありません。

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確定申告書の書き方について

退職金に関する確定申告を行う時の必要書類や書き方を見ていきましょう。

必要な書類は?

確定申告をする際には以下の書類が必要です。

  • 確定申告書B
  • 申告書第三表(分離課税用)
  • 給与所得の源泉徴収票
  • 退職所得の源泉徴収票
  • 社会保険料の納付書や生命保険料等の控除証明書

確定申告書の書式は税務署で入手でき、源泉徴収票は勤務先から発行されます。社会保険料の納付書は納付時に受け取れますし、各種控除証明書は自宅に郵送されるのが一般的ですので、確定申告の時期まで保管しておいてください。

退職者はどうやって書く?

まず、給与の源泉徴収票の内容をもとに、確定申告書Bの収入金額、所得金額の欄に、給与の収入金額等、源泉徴収税額を転記します。そして、納付書や控除証明書をもとに『所得から差し引かれる金額』を記入してください。

また、申告書第三表(分離課税用)には退職金の源泉徴収票をもとに、収入金額と所得金額の『退職』の欄に金額を転記していきます。

続いて第三表に給与所得や控除金額を転記して税金の計算を行ったら、確定申告書Bの第一表に戻って計算した税額を転記します。すでに納付済みの税額と実際の税額の差を計算し、還付される場合には振込先口座を記入しましょう。

なお、確定申告書への記載は提出する必要書類からの転記だけでなく、一部計算も必要です。心配な方はWEBサイトの申告書作成コーナーを利用すると自動計算してもらえるので、活用してください。

まとめ

退職金は正しい手続きを行っていれば、会社で源泉徴収が行われているため、通常は確定申告の必要はありません。しかし、退職した後の状況などによっては確定申告をしておいた方が得になる場合もあるので、その際は忘れずに確定申告を行いましょう。

なお、過去の退職所得に関しても5年間はさかのぼって申告できるので、該当する場合には手続きを行ってください。