老人ホームを検討している人は、原則として要介護3以上あれば『特別養護老人ホーム』に入ることができます。資金に不安のある人でも入居できるうえ、長期入所も対応してくれるので安心です。ここでは、気になる特別養護老人ホームの料金について紹介します。
目次
特別養護老人ホームの利用料金相場
家庭での介護が難しい場合、『特別養護老人ホーム』への入居を検討する人も多いでしょう。そんな人にとって、気になる問題の一つが利用料金です。一旦入所すれば長期間お世話になることもあり得るので、毎月の支払額の目途をつけておくことをおすすめします。
1カ月の利用料金はどれくらい?
特別養護老人ホームを利用する場合、1カ月に支払う金額は世帯収入や入居する部屋のタイプによって異なります。部屋の種類は4つで、以下のとおりです。
- 多床型:1部屋に複数のベッドが置いてあり、複数人で部屋を共同利用する(月額平均約2万5,000円)
- 従来個室型:1人1部屋の個室(月額平均約3万5,000円)
- ユニット型準個室:1部屋を固定の壁で仕切って利用する。1ユニット10室でロビー、ダイニング、浴室、トイレ等を共有する(月額平均約5万円)
- ユニット型個室:1人1部屋の個室。ユニットについては同上(月額平均約6万円)
介護度によっても料金は変わるので、実際に入居を検討する際は各家庭の状況と照らし合わせて考えて下さい。
千葉市の料金相場も一般的
関東地区ですと、千葉県の料金相場も一般的です。千葉県では介護度や部屋タイプによってばらつきはありますが、月額8万円から15万円程度の施設が多いようです。
親を老人ホームに入居させるにあたり、気になるのがその料金です。入居費用は老人ホームのタイプによって違いますが、保険や年金などの公的制度を利用...
特別養護老人ホームの料金体系とは?
長く支払っていくことを考えると、特別養護老人ホームの料金体系もきちんと把握しておきたいものです。ここでは気になる特別養護老人ホームの料金体系について紹介します。
特養は入居する時に費用がかからない
特別養護老人ホームと通常の有料老人ホームの明らかな違いは、『入居一時金』がかからないという点です。有料老人ホームの入居一時金の平均価格は500万円と言われており、高額なところだと1億円というケースもあります。
入居一時金が不要というだけでも、費用負担はぐっと軽減されるでしょう。
サービス内容により加算される料金
特別養護老人ホームの月額利用料の内訳には『施設介護サービス費』という項目があります。これは施設内で受けられる介護サービスのための料金なので、介護度が上がるほど高額になります。
また『介護サービス加算』という項目は、施設内の看護師や介護士の人数、勤続年数などに応じて加算されます。介護サービス加算が多いほど、介護や看護を充実させているということがわかります。
料金を安く済ませたい気持ちもあるでしょうが、施設や介護の充実度を求めるなら、こうした料金にも注目してみて下さい。
料金表の料金改定を行う施設も
2018年には高齢者が質の高いサービスを受けることができるよう介護報酬が改訂され、介護報酬や加算の仕組みの見直しが行われました。この改訂は施設の経営に大きな影響を与えるものだったため、利用料金の改定を行う施設も出てきています。
原則として介護報酬の見直しは3年に1度行われるので、施設の利用料は今後も変更される可能性があることを心に留めておきましょう。
家族に介護が必要となった場合、どの程度介護にお金がかかるのか、これまで介護の経験がない人にとっては全く未知の世界ではないでしょうか。そこで、...
料金についての疑問を解消しよう
特別養護老人ホームを利用したい人も、料金についての疑問はいろいろあるでしょう。ここでは特別養護老人ホームの料金について、より詳しく紹介します。
2割負担になる条件とは?
2015年以降、特別養護老人ホームの利用者の一部は料金の2割を負担しなければならなくなりました。2割負担の対象者は次のような人です。
- 単身世帯:年間所得160万円以上(年金収入のみの場合280万円以上)
- 2人以上の世帯:世帯収入346万円以上
家庭によっていろいろなケースがあるので、事前の確認をおすすめします。
料金に消費税がかかるケースとは?
介護保険法では『居宅となるサービス』には消費税がかかりません。施設にいれば食事代やおむつ代も非課税対象になるので、介護にかかる料金はほぼ非課税と言えます。
しかし、施設が用意した食事以外のものを求めたり、特別室を利用したりといった『個人的に望んだサービスや物』は課税対象となります。
「これはどうだろう」と迷うものがあったら、ケアマネージャーに相談してみて下さい。
滞納しないために負担限度額認定証を利用
所得などの関係で料金の支払いに不安がある人は『負担限度額認定制度』を利用してはいかがでしょうか。この制度を利用できるかどうかは、所得と預貯金などの財産から判断されます。条件としては以下のとおりです。
- 住民税非課税の人
- 預貯金1,000万円以下(配偶者なし)、2,000万円以下(配偶者あり)
貯金については、ローン等の負債は差し引いて計算されます。
この制度を利用して『負担限度額認定証』を交付してもらえば、特別養護老人ホームの利用料負担を減らすことができます。
利用者負担段階で負担が変わる
負担限度額認定を受けていても、利用者負担段階によって負担額は異なるので、注意が必要です。負担段階は1~4まであり、4に該当する人は負担限度額対象にはなりません。条件としては『世帯全員が住民税非課税』が必要です。
- 第1段階:生活保護等を受けている
- 第2段階:年金を含めた年間収入80万円以下
- 第3段階:年金を含めた年間収入80万円以上
どの程度の負担額になるかは利用する施設や部屋のタイプによって異なるので、希望のタイプでシミュレーションしてみて下さい。
サービス付き高齢者向け住宅は有料老人ホームとは違います。ですから、制度の違いを理解しておく必要があります。それぞれの特徴を詳しく解説するとと...
まとめ
特別養護老人ホームは減免制度があったり入居一時金が不要だったりと、他の老人ホームに比べると低い金額で利用できます。収入が少ない人でも利用しやすいので、資金面に不安のある人はぜひ検討することをおすすめします。
ただし費用が安いぶん入居者希望者も多く、空きが出るまでに時間がかかることがあります。気になる施設は早めに見学し、申し込んでおきましょう。