年金を受け取るとなった時、気になるのは「いつお金をもらえるのか」ということではないでしょうか。この記事では年金が受け取れる年齢や支給日、必要な手続きなど、年金支給について気になる疑問について詳しく解説します。
目次
65歳になったら受け取れる年金
すべての人が加入している国民年金、または厚生年金の年金受給年齢は、現在65歳となっています。しかし、65歳になったら何もしなくても自動的に年金がもらえるというわけではありません。年金をもらうためには、必ず行わなければならない手続きがあります。
手続きをしないと受け取れない
年金をもらうためには、受給年齢になった時に所定の手続きが必要です。年金受給年齢が近づくと、日本年金機構から『年金請求書』が届きます。年金をもらうためにはこの書類に必要事項を記入し、戸籍謄本などの必要書類を添えて提出しなければなりません。
繰上げ、繰下げ受給も可能
年金は65歳を迎えたら必ずもらわなければならないわけではなく、65歳を過ぎてもまだ働いていて一定の収入がある場合は『繰り下げ受給』ができます。
年金の繰り下げ受給は月単位で設定が可能です。繰り下げ期間1カ月ごとに受給額が0.7%増えるので、繰り下げ受給の期間が長くなるほど、後にもらえる年金額が増えます。
逆に、60歳になると『繰り上げ受給』を行えます。繰り下げ受給と同様に、月単位で受給開始期間の繰り上げができます。しかし繰り上げ期間1カ月あたり年金額が0.5%減額され、この減額率は一生変わることはありません。
繰り上げ受給は早く年金をもらえる代わりに、もらえる年金額が将来に渡ってカットされるというデメリットがあるので、先のことを良く考えて決断すべきでしょう。
年金を受け取るとなった時、気になるのは「いつお金をもらえるのか」ということではないでしょうか。この記事では年金が受け取れる年齢や支給日、必要...
年金支給日はいつ?
年金をもらえることになった後、年金がいつ支給されるのか気になるのではないでしょうか。年金はすべての支給対象者に対し、決められた日に振り込まれます。
2月4月6月8月10月12月の15日に
年金は年に6回、毎偶数月に支給されます。2カ月分が一度振り込まれますが、今後2カ月分としてではなく、振り込みが行われる月より前の2カ月分として、支給が行われます。
たとえば、6月に振り込まれた年金は次回の給付日である8月までの2カ月分ではなく、その前の2カ月分にあたる4・5月分というわけです。
年金の種類にかかわらず一律同じ日
国民年金、厚生年金の違いに関係なく、公的年金はすべて同じ日に指定した金融機関の口座に振り込まれます。種類にかかわらず『年金の支給は偶数月の15日に振り込み』と覚えていれば間違いがないでしょう。
支給日が土日や休日だったら場合は
給与振込口座などと同様、年金支給月である偶数月の15日が土曜・日曜だった場合は、年金の振り込みが金曜日に繰り上がります。15日が休日だった場合も、直前の平日に支給日が繰り上がります。
しかし、企業の休みが多いお盆期間中の8月15日は休日ではないため、土曜・日曜をのぞいてカレンダー通りに年金が支給されます。
初回の年金はいつからもらえるのか
年金は原則65歳になった時にもらえますが、具体的にどのタイミングで年金が支給されるのでしょうか。初回の年金について説明します。
誕生日の翌月から受給権が発生する
たとえ事前に年金請求書を提出して手続きを済ませていたとしても、年金は65歳の誕生日を迎えた日からすぐもらえるわけではありません。
年金支給が始まるのは、誕生日を迎えた翌月からとなります。しかしすでに解説したとおり、年金支給日は2カ月に一度、偶数月の15日と決められています。
そして、年金は支給日前の2カ月分がまとめて振り込まれるため、実際にお金が振り込まれるのは、誕生日から数えて2~3カ月後となります。
ただし、1日生まれは当月から対象に
年金受給権スタートに関しては、ひとつだけ例外があります。それは、毎月1日が誕生日の人の場合です。
年金は、1日生まれの人のみ当月として換算することになっています。このルールに沿って、年金保険料の支払いも、1日生まれの人は実は他の日に生まれた人よりも1カ月早く始まっているはずです。
つまり、1日生まれの人はその前の月生まれ扱いとなり、2日生まれ以降の人よりも1ヶ月年金の受給権が早まるというわけです。例として、6月1日生まれの人なら、前月の5月生まれとして扱われるので、翌月の6月分から年金支給が開始となります。
初回は振込みが遅れ奇数月になることも
基本的に年金の支給は偶数月の15日と決められています。しかし、ここにもひとつだけ例外があります。それは、初回の年金支給時です。初回のみ、年金が奇数月に支給されるケースもあります。
誕生日が月の中~下旬の人は、請求が遅れてしまい、年金支給が翌偶数月に間に合わないことがあります。その場合、初回支給時に限り、例外的に奇数月に年金が支払われることがあります。
しかし、これはあくまでも初回支給時のみ起こり得るケースです。通常は振込先口座への入金事故などの例外的なトラブルが発生した時以外に、奇数月に年金支給が発生することはありません。
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受け取り口座を変更するには
年金を受け取るには、年金受給者本人名義の銀行口座を指定する必要があります。しかし「使い勝手が悪い」とか「もっと家から近い場所に支店がある銀行に変えたい」など、過去に指定した振込先口座を変更したい場合もあるでしょう。
そんな時の年金受け取り口座変更方法について、解説します。
年金事務所や年金相談センターで手続き
年金受取り口座を変更したい時には、『年金受給権者受取機関変更届』の提出が必要です。
この書類は、お住まいの地域にある年金事務所または年金相談センターでもらえるほか、電話で連絡を入れれば書類の郵送も行なってもらえます。または、日本年金機構のホームページでダウンロードもできるので、自宅で印刷した書類に記入も可能です。
郵送や代理人でもOK
必要事項を記入し、捺印をした年金受給権者受取機関変更届は、年金事務所または年金相談センターへ直接持ち込んで提出します。
もし年金受給者本人が窓口へ行けない時は、代理人の提出も認められています。この場合は、委任状も併せて提出しなければなりません。委任状も、日本年金機構のホームページでダウンロードした書類が使用できます。
本人や代理人が直接窓口へ行くのが難しいのであれば、郵送でも書類を受け付けてもらえます。郵送先は書類をもらえる場所と同じ、最寄りの年金事務所または年金相談センターです。
原則支給月の前月10日までに年金受給権者受取機関変更届を提出すれば、次回の受け取りから新しい口座に切り替えができます。
変更手続きに必要なもの
年金受取り口座の変更には、先述の年金受給権者受取期間変更届に加えて、振込先口座を証明するための預金通帳の原本またはコピーも必要です。
もちろん、年金受給者本人の基礎年金番号も控えておかなければなりません。年金手帳や国民年金保険料の納付書または領収書も用意しておくと良いでしょう。
年金受給者が死亡した時の手続き方法
受給者が亡くなったにもかかわらず、年金をもらい続けることは不正受給となります。不正受給をした末に、詐欺罪で逮捕されるケースも全国で実際に起こっています。
このことからも、年金受給者が亡くなった場合には、年金関連の手続きはできるだけ速やかに行うべきでしょう。
年金受給者死亡届を提出
年金受給者が亡くなった後は、お住まいの市区町村の窓口に死亡届を提出します。それとは別に、『年金受給者死亡届』を年金事務所または年金相談センターへ提出します。年金受給者死亡届には下記の情報を記載します。
- 亡くなった人の基礎年金番号・氏名
- 死亡日
- 届け出を行う人の氏名・続柄・住所・連絡先
ただし、2018年3月からは死亡届の扱いに変更点があります。マイナンバーと基礎年金番号の紐付けができている場合は、年金受給者死亡届の提出を省略できるようになりました。
過去に年金関連の書類にマイナンバーを記入して提出したことがあれば、年金受給者死亡届は不要となります。
届出せず年金を受け取ったら返還義務がある
マイナンバーと基礎年金番号が紐付けされていない場合、受給者が亡くなった時に年金受給者死亡届を出さずにいると、受給者が死亡したことがわからないため、そのまま年金が振り込まれ続けてしまいます。
死亡届を出さずに亡くなった人の年金を受給し続けることは、言うまでもなく不正受給に当たります。もし本来受け取るべき額よりも多い年金を受給した場合、返還する義務が発生します。
このようなトラブルを防ぐためにも、年金受給者死亡届はできるだけ早く提出するべきです。
死亡した年金受給者に未受給分があったら
年金の不正受給は詐欺罪に発展する大きな問題ですが、その反対に本来もらうべき年金である『未支給年金』がもらえないという事態も発生します。これは、年金を受け取っていた人なら誰にでも起こり得ることです。
なぜ必ず未支給年金が発生するのかというと、その理由には年金支給の仕組みがかかわっています。
未受給分は必ず発生するもの
年金支給日についての項目でも書いたように、年金は2カ月に1度、その前の2カ月分がまとめて支給されます。しかし、年金が受給されるのは死亡した月までとなるため、2カ月分の年金がもらえなくなる事も考えられます。この分が未支給分年金となります。
つまり、死亡後の翌偶数月は必ず未支給分の年金が発生し、受給資格がある死亡前2カ月分の年金を受け取れるのです。
未支給年金は本来であればもらえるはずのお金ですが、受給者本人が亡くなっているため、受け取るためには所定の手続きを行わなければなりません。
未支給請求書を提出
未支給年金についての手続きは、死亡届のように省略はできません。未支給年金をもらうためには、国民年金・厚生年金にかかわらず、『未支給請求書』を年金事務所または年金相談センターへ出す必要があります。
未支給請求書には下記の書類の提出・添付が必要なので、忘れず準備しましょう。
- 亡くなった人の年金手帳、年金証書または基礎年金番号通知書
- 請求者名義の預金通帳やキャッシュカード
- 亡くなった人との身分関係を証明するための戸籍の謄本、戸籍の抄本、戸籍の記載事項証明書など
- 世帯同一関係確認のための住民票
- 住民票除票(世帯全員の住民票に含まれている場合は不要)
生計を同じくしていた家族が受け取れる
受給者本人しか受け取れない年金ですが、その本人が死亡した後に発生する未支給年金については、生計を同じくしていた遺族のみが受け取れます。
そして、受け取れる人の優先順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、これら以外の3等身以内の親族の順番となります。
遺族年金では、子や孫が受け取る場合は18歳到達年度の3月31日を経過していなければならないという制限があります。しかし、国民年金または厚生年金で発生した未支給分の受け取りにはこのような年齢制限がないので、18歳以下の子や孫でも受け取りが可能です。
年金支給日は金融機関が混みあう
年金は、すべての年金受給者が同じ偶数月の15日に受け取ります。国民年金や厚生年金だけではなく、遺族年金や障害年金など他の種類の年金も、すべて同じ日に支給されるからです。
そのため、年金支給日に当たる偶数月15日は、年金受給者がお金をおろすことが多く、金融機関の窓口が混雑することが少なくありません。
とくに開店直後は混む
年金は支給日の朝9時、つまり銀行の営業開始時間には振り込みが完了しています。銀行が開いたと同時に窓口へ行けば、すぐに振り込まれた年金をおろすことができます。
ところが「振り込まれた年金を早くおろしたい」と考える人は多いもので、開店直後の金融機関は混むことが多い傾向があります。混雑を回避するためには、開店直後の訪問は避けるのが無難です。
開店直後以外でも、1日の中で混雑する時間帯がいくつかあります。12~13時は行員が休憩に入ること、また昼休みを利用して来店する会社員が増えるので、混みやすい時間帯です。
そして、営業終了間際の14~15時も締め作業にあたる行員が増えるので、窓口対応を行う行員が不足しがちになることから、混雑しやすいといわれています。
長い待ち時間が嫌なら翌日に
金融機関が混雑する時間帯は、待ち時間も長くなりがちです。年金が振り込まれる偶数月15日だけではなく、企業の給与日が多い毎月10日や25日、公務員の賞与支給日である6月30日・12月10日も、金融機関が特に混雑する日だといわれています。
クレジットカードの引き落とし日などが重なる、5と10の付く日を意味する「五十日(ごとおび)」も、金融機関は混雑しがちです。
さらにゴールデンウィークやお盆、年末年始などの大型連休前は、休み期間中に足を運べない人が集中するため、混みあうことがあります。
このような日を避ければ、少ない待ち時間で窓口での手続きが行うことができるでしょう。混雑していて待ち時間が辛いという時は、翌日に再訪問するのもひとつの手段です。
今月の支給日はいつになる?年金支給日一覧
今後の年金支給日が具体的にいつになるのかをすぐに知りたいという人のために、今後3年間の年金支給日を年度別にまとめました。
2018年の年金支給日
- 2018年6月15日(金曜日)
- 2018年8月15日(水曜日)
- 2018年10月15日(月曜日)
- 2018年12月14日(金曜日)
- 2019年2月15日(金曜日)
12月のみ、15日が土曜日なので金曜日の14日に繰り上げになっています。
2019年の年金支給日
- 2019年4月15日(月曜日)
- 2019年6月14日(金曜日)
- 2019年8月15日(木曜日)
- 2019年10月15日(火曜日)
- 2019年12月13日(金曜日)
- 2020年2月14日(金曜日)
2019年度は、15日が土曜日に重なる日が3回もあるため、14日に繰り上がる日が多い点に注意です。
2020年の年金支給日
- 2020年4月15日(水曜日)
- 2020年6月15日(月曜日)
- 2020年8月14日(金曜日)
- 2020年10月15日(木曜日)
- 2020年12月15日(火曜日)
- 2021年2月15日(月曜日)
2020年度は、8月15日のみ土曜日なので、14日に繰り上げとなります。
まとめ
年金は、受給年齢になったら自動的にもらえるものではなく、所定の手続きを行わないと受給することができません。また、年金にかかわる口座変更や死亡届、未支給年金の請求にも、年金事務所や年金相談センターでの手続きが必要となります。
年金をもらう年齢が近づいているのであれば、スムーズに年金の受給を開始するためにも、これらの手続き方法や支給日について確認しておくことをおすすめします。