再雇用制度で定年後も働ける?仕組みや現状を徹底解説します

定年が近づくにつれて、定年後の仕事をどうするか悩む方も増えてきます。今回は定年になっても働きたいと考えている方に必要な情報をまとめました。再雇用された場合に気になる賃金に関する疑問や、再雇用制度の利用方法についても解説します。

定年後再雇用制度とは

最近は社会の高齢化が進み、定年退職後も働く方が増えてきました。そんな方の為に国は様々な雇用制度を設けています。

まずは再雇用に向けて基本的なことを説明します。

そもそも定年とは

そもそも定年とは、会社が決める雇用契約が終了する年齢の事です。

『高年齢者雇用安定法第8条』により、定年の年齢は60歳以上であることは法律で決まっていますが、それ以外の定めはなく、具体的な年齢は会社が決めることになっています。よって、会社によって定年は60歳だったり65歳だったりします。

しかし厚生年金の支給開始年齢が引き上げられたことに伴い、『定年60歳』の会社に勤める方がそのまま退職すると、収入も年金もない状態で生活しなければならない期間が発生してしまうようになりました。

そのため、厚生労働省は『定年60歳』の会社に対し、以下の対策をするように義務付けています。

  • 定年を引き上げる
  • 継続雇用制度の導入
  • 定年制を廃止する

高年齢者雇用確保措置

また平成18年の高年齢者雇用安定法の法改正により、現在定年を『65歳以下』としている企業に対し以下の措置を取るように義務付けられました。

  • 定年を65歳まで引き上げる
  • 65歳までの社員に対し継続雇用制度の導入
  • 定年制を廃止する

この措置によって、今後定年を60歳以上に引き上げる企業が更に増えることが予想されます。

定年退職と定年解雇の違い

定年制には『定年退職』と『定年解雇』があります。違いは以下の様になっています。

定年退職とは

『定年退職』とは会社の就業規則の規定通りに退職することです。就業規則に『定年60歳』と定められているなら、60歳を迎えた時に退職となります。

定年解雇とは

定年に達しても再び雇用する場合には一旦解雇する形になり、『定年解雇』と呼ばれます。

例えば就業規則に『定年60歳』とされていても『業務上必要な人材であり嘱託として新たに採用することがある』とある場合があり、これが適用された場合は定年解雇になります。

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高年齢者雇用安定法とは

高齢者雇用安定法とは平成16年に成立した法律で、平成18年と平成25年に改正され、現在改正法が施行されています。

この改正では高齢化社会に伴って継続雇用制度の対象者を限定する仕組みを廃止し、希望者全員を雇用する企業範囲の拡大、この法律に違反した会社の公表規定など、定年に達しても働きやすくなるような変更がされました。

継続雇用制度の種類

継続雇用制度とは、現在務めている社員が定年に達しても働き続けることを希望する場合に利用する制度のことです。現在2つの制度があり、どちらの制度を適用するかは会社によって異なります。ここではこの制度の違いについて解説します。

勤務延長制度

『勤務延長制度』とは、定年に達した社員を退職させることなくそのまま雇用する制度です。この制度を利用する場合は、会社の就業規則にて規定をする必要があり、社員の同意なしに雇用条件を変更することができないことが条件となります。

つまり『勤務延長制度』の場合は基本的に定年に達しても定年前と同じ条件で雇用されるのです。

再雇用制度

『再雇用制度』では定年に達した社員を一旦退職させて再雇用という形をとります。定年前の雇用条件とは違う新たな契約を結ぶことになります。

再雇用の賃金は減額が多数

現状、ほとんどの企業は再雇用制度を利用しています。

再雇用制度は契約を結び直しますが、定年前より減額された賃金で雇用されている方が多い傾向にあります。

このように再雇用によって賃金を減額された際に、減額部分を補う給付金制度が利用できる場合があります。

高年齢雇用継続給付金とは

高齢者雇用給付金制度による給付金額は以下の様になっています。

  • 60歳~65歳の月々の賃金が61%~75%以下:現在の月々の賃金の15%相当未満が支給
  • 60歳~65歳の月々の賃金が61%以下:現在の月々の賃金の15%相当が支給

つまり、定年前の給料の75%以上が賃金として支給されているなら給付対象にはなりません。支給される給付金は最大で15%程度です。支給対象者は以下の通りです。

  • 60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者であること
  • 被保険者だった期間が通算5年以上あること

退職後に別会社に就職した場合

退職した後に別の会社に就職した場合でも、高齢者雇用給付金がもらえる場合があります。なぜならこの制度は同じ会社で働いていた場合にだけ適用されるものではないからです。給付対象者には以下の条件があります。

  • 前の会社から失業手当または再就職手当をもらうことなく、退職してから1年以内に就職し雇用保険を再取得している方

再雇用制度を利用する際のポイント

ここからは定年後も納得して働いていくために、再雇用制度を利用する際のポイントを解説します。

雇用形態や賃金の確認

再雇用された後の雇用形態や賃金については、事前の確認が重要です。継続雇用の場合は定年前と変わらない待遇を受けることが可能ですが、再雇用の場合は雇用形態が変わるので、定年前に就いていた役職なども関係なくなる場合がほとんどです。

収入が大幅に減る場合には、副業をする必要が出てくる可能性もあります。再雇用制度を利用せず新しい会社に就職するという選択肢もあり、そのほうが収入が上がるケースも少なくありません。

ただし、別の会社に再就職を希望する場合、就職先が見つかるまで収入が不安定になることなどのデメリットもあります。定年後どのように働くのかは、様々な可能性を考えながら決めると良いでしょう。

健康保険や雇用保険の確認

再雇用で嘱託やパートタイム契約になる場合、健康保険や厚生年金についても、定年前とは変わる可能性が出てきます。

再雇用後も正社員と同等の勤務時間・勤務日数の場合には、今までと同じ健康保険・厚生年金に継続して加入できます。賃金が減額された場合、それに伴い保険料も減少します。

しかし、下記の場合は健康保険・厚生年金に加入できないので、注意が必要です。

  • 1日あたりもしくは1週間あたりの勤務時間がおおむね正社員の3/4以下である
  • 1ヵ月あたりの勤務日数がおおむね正社員の3/4以下である

この場合、国民健康保険に加入するか、今までの健康保険を任意継続するかのどちらかになり、負担額が増える場合が多いです。

また、配偶者が扶養に入っていて60歳未満の場合には、第1号被保険者として国民年金保険料の支払いも必要になります。

再雇用までの流れ

ここでは再雇用までの流れを具体的に説明します。まず、定年を迎える1年前ぐらいを目途に、会社の人事に『定年後再雇用制度』の有無を確認しましょう。

この時に制度内容をよく確認しておけば、再雇用を希望するか別の会社で再就職先を探すか、しっかり時間をかけて考えることができます。

定年を迎える半年前に、人事担当者や上司から再雇用の意思の確認があります。

再雇用が決定した場合

再雇用が決定した場合は以下の流れで手続きが行われます。

  1. 定年の6週間前ぐらいに退職手続きを行う。同時期に健康診断を受けるように指示される。
  2. 定年の1か月間ぐらいに再雇用契約書を締結する。
  3. 定年退職にあたって、有給が残っている場合はすべて消化する(勤務延長制度の場合は不要)
  4. 退職した月の翌月から再雇用される。

再雇用が決定しなかった場合

再雇用が決定しなかった場合は定年前に退職手続きを行い、退職金が支払われ、そのまま退職となります。

まとめ

定年を迎えるということは新しい人生の始まりと言っても過言ではないかもしれません。働き方や収入が変われば生活も変わります。

定年が近くなってきたら早いうちから積極的に再雇用に関する情報を集め、定年後も安心して活き活きと暮らせるように準備を行うことが重要です。