贈与税がかからない親子間の支援方法とは?仕組みがわかれば非課税に

贈与税と聞くと『金持ちにしか関係のないこと』と思うかもしれませんが、贈与税は個人間の金品の受け渡しにかかる税金で、財産を受ける側の人が負担します。金額によって申告する義務が発生するため、自分はどんな状態にあるのかを知っておく必要があります。

贈与税の申告漏れをするとどうなる?

親が子どもを経済的に支援するのはごく普通のことなのに、なぜ税金を払わなければならないのか、そもそも申告しなくても個人同士のお金のやりとりなど、誰も気が付かないのではないかと考える人も多いでしょう。

でも、実は贈与税の申告漏れはなぜか税務署にばれてしまい、あとから高額を請求されるケースが多いのです。

申告漏れが発覚する理由

税務署の仕事は実に多岐に渡り、常に多忙なものです。そのため、一般の人が贈与税の申告漏れをしていても、すぐにはばれません。

しかし、親が亡くなって相続税が発生したときの税務調査で発覚したり、不動産の購入など『多額のお金が動くとき』に法務局から税務署に報告がいくことでばれてしまったりします。

申告漏れが発覚すると高い税金がかかる

贈与税の申告漏れは、納税の義務に違反したことになるため、『忘れていましたすみません』では済まされず、次のようなペナルティが課せられます。

  • 延滞税:最大年率14.6%
  • 加算税:15~40%

税率が高いうえ、時間が経てば経つほどに延滞税が課せられて高額な税金が請求されることになるため、申告漏れのリスクは大きく注意が必要なのです。

贈与税の仕組みを知って税金を抑えよう

贈与税は受け取っただけで必ずかかるわけではありません。贈与税がかかる金額や税率、非課税になるものなどきちんと仕組みをしっておけば、節税にもつながります。

贈与税がかかるボーダーラインは110万円

贈与税は『もらう側の金額』が年間(1/1~12/31)で110万円以上かかったときから発生します。

つまり、親などから年間で110万円以下をもらったのであれば、基礎控除額の範囲内なので、税金がかからない『非課税枠』ということになります。

贈与税の税率は金額により異なる

贈与税の税率は次のようになっています。

贈与財産の合計額から110万円引いた金額

一般税率※2

(一般贈与財産)

特例税率※1

(特例贈与財産)

200万円以下 10% 10%
300万円以下  15% 15%
400万円以下 20% 15%
600万円以下 30%  20%
1,000万円以下 40% 30%
1,500万円以下 45% 40%
3,000万円以下 50% 45%
4,500万円以下 55% 50%
4,500万円超 55% 55%

※1特別贈与財産:贈与を受ける年の1/1現在で20歳以上の人が、両親や祖父母などの直系尊属から贈与を受ける財産。

※2一般贈与財産:特別贈与財産にあてはまらないケース。未成年や直系尊属でない人からの贈与財産。

非課税の贈与もできる

年間に110万円以下の贈与ということを踏まえて子どもに金品を渡すことで、非課税の贈与ができます。

しかしそれ以上にもっと贈与したいお金がある場合や、贈与したい人が高齢の場合、年間で110万円では少額すぎて時間がかかりすぎるという問題も出てきます。

その場合には『必要な都度』贈与してもらうと非課税の贈与になります。ただし、贈与を受けたお金は毎月、教育費や生活費として使いきってしまうことが条件になります。

親子間で非課税贈与する方法

親子間ならではの子どもへの金銭的な支援方法には、非課税になるものが多くあります。しかしその金額や贈与方法についてはさまざまな規定があるので、確認しておきましょう。

毎月の生活費や仕送りはかからない

一人暮らしの大学生であるわが子に月10万円程度の仕送りをするなど、子どもの生活費などを親が与える分のお金には贈与税はかかりません。

親がこのように子どもを経済的に支援することは、法律的には『扶養の義務』によるものだとみなすことができるからです。

しかし、次のようなケースでは贈与税の対象になる場合があります。

  • 月100万以上などの常識の範囲を超えた金額の仕送り
  • 送られた側の子どもがお金を使わずに貯金などで運用

結婚資金は300万円までOK

子どもの結婚にまつわるお金(結婚式の会場代、衣装代、新居への引っ越し代、敷金&礼金など)も非課税の対象になり、次の条件を満たしていれば、結婚資金として300万円まで、贈与税がかからずに渡すことができます。

  • 贈与される人が20歳以上50歳未満
  • 贈与する人が直系属性(父母、祖父母、養父母)
  • 入籍日の一年前にあたる日以降に贈与
  • 結婚、子育て資金非課税申告書類の提出
  • 贈与する側とされる側で専用口座を作って送金
  • 贈与されたお金を貯金しない

車は贈与時の価値次第

先に述べたように110万円以下の金品であれば贈与税はかからないため、車を子どもに贈る際も110万円以下の車ならば贈与税はかかりません。

でも、どうせならもっと高額な車を買い与えたいという人も少なくありません。その場合、新車で購入した段階では価値が高く、高額な贈与とみなされるため贈与税がかかります。

対策としては、先に親の名義で購入し、一定期間親が車を使ったり子どもに貸したりして使い、自動車保険も購入した親の名義のままにして子どもが勝手に売却できないようにします。

車は使いだすと新古車や中古車扱いに変化するため、その評価額はぐんと下がります。そのうえで改めて査定をしてもらい、『110万円以下の価格になった時に中古車として子どもに譲る』つまり高級車でも贈与時の価格が非課税の対象になっていればOKなのです。

まとめ

親子間での贈与税は、基本的には親の子どもに対する『扶養の義務』を前提にした資金(生活費や結婚出産費用など)を贈与する分には、非課税になるものが多くあります。

しかし残念なことに不正を働く人もいるため、税務署では親子間の贈与に目を光らせているのも事実です。そのため今使える制度や特例がずっと有効とは限りません。

現時点で非課税だからと安心せず、通帳でのお金の使途の記録や領収書などを手元に残しておき、いざというときにきちんと報告できるようにしておくことも大切です。